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2010年03月23日

【共認社会の新しい農法とは?】(3)生態系の起点は植物

こんにちは Very Happy

前回の【共認社会の新しい農法とは?】(2)生命とはどういう存在なのか?に引き続き、「エントロピー」の概念から自然界の「循環」ってどういうこと?を追求します。

よく「物質循環」という言葉が出てきますが、もう少し正確にこれを捉えると「物質とエネルギーの循環」であることが明らかになります(前回記事参照)。

つまり、『物質とエネルギーが絶えず行き来していること』が循環という概念を理解する上で重要なのです。

しかし、普通に考えればエントロピーが増大(原子が拡散)して「行き来」が終わってしまいます。物理現象としてはそれが当たり前なのですが、そうなっていないのが「生命」の不思議 Confused ましてや、30億年を超える期間ずっと存在し続ける「生態系」なんて一体どうなってるの?という話ですよね。

その謎を解くために、『植物が生態系内の循環の基となるエネルギーを生み出す起点である』ことに注目してみましょう m039

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■高分子化と低分子化の繰り返しがエントロピー増大を食い止める

まずは、「個体」におけるエントロピーの推移を見てみましょう。
オリジナルですが、イメージは【図1】のような感じです。

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図1:個体のエントロピー推移

物質ならば、上の線のようにほぼ一直線に崩壊に向かいます。
しかし、生命の場合は下の線のように「一時的に逆方向に向かい(成長)、途中から加速的に"死"に向かって進む曲線」になるのです。結果的に、個としては物質よりも長い時間存在するということになります。

なぜ、このような違いが起こるのでしょうか?
ヒントは【図2】に示されています。

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図2:酵素活性(前回記事より)

これは高分子が低分子になる(≒エントロピー増)状態を表したものですが、低分子化する過程で「反応熱」(エネルギー)が出てきていることが分かります。生物の体内では、このエネルギーをATPという物質に蓄え、様々な活動(肉体形成や運動)に当てているのです。

ここで蓄えられたエネルギーは、低分子を高分子化することにも使われます。だから、生命は一直線に崩壊に向かうのではなく、細胞レベルで低分子化と高分子化を繰り返してエントロピー増大→崩壊を遅らせているのだと言えます。

これが、一見エントロピーの法則に反しているかのように見える現象の正体です。
しかし、細胞の分裂回数には限界があるため、いずれエントロピー増加に追いつかれて「死」に至り、その後は物質的な分解が起こることになってしまいます。
生命も、「個」であるうちは循環には至らないのです。


■全体は循環することで維持している

1個の生命に対して、生態系を「全体」と捉えてみましょう。
生態系には無数の生命が存在しており、絶えず生成消滅が繰り返されています。

ここでは、個体における細胞とは異なり、死んで分子レベルまで分解された物質を吸収して新たなエネルギーを生み出す生物が大量に存在します。

この「死→分解→吸収→生成→死・・・」はほぼ無限に繰り返されているプロセスで、その中身を一言で言えば先ほどの『低分子化と高分子化』がずっと続いているということになります。

つまり、多種多様な生物の生と死を取り込むことで、系全体としてはエントロピー増大に至らず、延々と物質とエネルギーが循環する状態を維持しているのだと言えます。そして、個体と違い、循環が続く限り「死」には至りません。
これをイメージ化すると【図3】のようになります。

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図3:生態系のエントロピー推移

ただ、図の通り、生態系の内部だけで物質とエネルギーが循環しているわけではなく、外部とのやり取りも存在します。むしろ、外部から物質、エネルギーを取り込むことがなければ生態系すら発生し得なかったと言っても過言ではありません。

なので、ここでは『低分子化と高分子化が延々と繰り返されている状態が生態系における循環』だと捉えるのが正確かと思われます。


■生態系内の循環の起点は植物

先ほどから高分子高分子と書いてきましたが、簡単に言うとこれは「糖類」です。この糖類が分解(消化)されてエネルギーを生み出すからこそ、生物はエントロピー増大に逆らうことができ、生態系も維持できているのです。

その糖類を作ることができるのは、『植物』しかいません。二酸化炭素・水に加え、生態系外部のエネルギーである「太陽光」を使って『光合成』を行うことで、上記の壮大な生態系循環に必要なエネルギーが生み出されているのです。

植物無しには現在の生態系は無かった、そう考えれば、まさに『植物は生態系循環の起点』ですね。


さて、第二段落で述べたように、生態系は外部とも物質・エネルギーのやり取りをしながら成立しています。言葉を換えれば、外部環境が一定の条件を整えることで、生態系は成立するのだということです。

地球上において直接的に生態系に影響を与えるのは、主に大気ですね。
実はここでも植物が活躍しているのです Shocked

その内容については、次回をお楽しみに tikara

投稿者 staff : 2010年03月23日 17:00  

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コメント

分かりやすくフォローしてくださってありがとうございます!

生態系の循環の起点となっている植物はありがたや
その植物を育ててくれている農家のみなさんはありがたやありがたや…
なのです。

投稿者 雅無乱 : 2010年03月23日 22:08

>雅無乱さん

コメントありがとうございます。
生態系循環の起点が植物であり、その植物を育てているのが農業なのだと捉えれば、農業を循環の一部と捉える視点が重要になってきますね!

農家の方々が担っているのは、単なる食糧生産ではなく、生態系が成立するための条件作りでもあるのです。
また、だからこそ、安易な多投入型農法に疑問を投じることも必要になって きますね。

植物と農家の皆さんへの感謝を忘れず、どんどん追求していきましょう!

投稿者 Yoshi : 2010年03月25日 16:42

近代農法では、農家が作物を育てるのに、多大のエネルギーと、大量の投入物を必要とします。市場での価格だけでそれらを評価すると、効率的に思えますが、全体として捉えると、物理法則に逆らうすごいエネルギーの投入となり、その上、循環しない方法(生態系を壊している)としたら、ものすごい無駄をしているということになりますね。
植物を起点とする生態系の行っていることの自然の摂理に則った合理性を思うとき、市場原理の合理性・効率が、とてもチンケで歪んだものに思えてきました。

投稿者 kuma : 2010年04月01日 23:16

確かに☆
全体として捉えた時に、循環していなければ、出ていく一方で、多大なエネルギーをずっと必要とし続けるのですね。

投稿者 megu : 2010年04月02日 00:17

興味深く読ませていただいてます。
生命の不思議はもとより、大自然のしくみは神秘的としか言いようがありません。
そのしくみを少しでも知っていくことで、農の往くべき道を探っていけると信じています。

ただひとつだけ、「光合成」を行うお話のところで、「ワタシを忘れないで~」と二酸化炭素さんが言っております。

趣旨と関係ない突っ込み、ゴメンナサイ!!

30億年前、地球上に初めての光合成生物が現れたとき、酸素はただの排泄物でした。
その後、この酸素を使って呼吸する生物が現れ、無酸素呼吸に比べて20倍のエネルギーを生み出すといった効率の良い営みを得たことで、いっきに生物が多様化していったといわれます。
排泄物が効率を生むなんて!

それはエントロピーの増大とは逆のベクトルといえるのかな?

投稿者 すずめ : 2010年04月24日 00:07

kumaさん

一口に合理性と言っても、自然界と市場社会では中身が異なっているんですね。環境問題はこのズレが原因だと言えそうです。
その市場社会が限界に達しつつある現在、やはり自然の摂理に沿った社会構築が必要なのだと思います。

meguさん

視点を個から全体へ広げるだけで、循環することの重要性が分かってきますね。もともと日本人はそういう自然観を持っていたはずなのですが、西洋から個人主義を半端に導入したことで、方向を間違えたのかもしれません。

すずめさん

二酸化炭素の件、ご指摘ありがとうございます。凡ミスでした。本文は修正しておきました。

太古に光合成によって酸素が増加したことは、当時ほとんどの生物にとって逆境(エントロピー増加要因)でしたね。
地球上の生態系からすれば、「酸素増加→エントロピー増大⇒呼吸機能の獲得→エネルギー効率増大→エントロピー縮小」という経緯だったのでしょう。

増加したエントロピーに逆行するのが「進化適応」と呼べるのかもしれませんね。掘れば掘るほど面白い話です。

投稿者 Yoshi : 2010年04月26日 19:12

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